| リラ・プレカリア(祈りのたて琴)
ラテン語でリラはハープを、プレカリアは祈りを意味する「リラ・プレカリア」は、「祈りのたて琴」と訳すことができます。病床にある方、さまざまな問題で悩み苦しむ方に、ハープと歌による祈りをお届けするプログラムです。
多くの場合、音楽は多数の方々を対象に演奏されますが、リラ・プレカリアによる音楽は全くの個人を対象としています。奏者は自ら演奏する曲を選ぶのではなく、その方の精神的状態、呼吸数、心拍数等から、祈りと導きによってそのとき演奏すべき曲が与えられます。この働きの経験から、病床にある方々だけでなく、看護する方々にも、私たちは一人ではなく、私たちの力を超えた方が共にいてくださることを再認識する大きな恵みの機会となっています。
アメリカ・モンタナ州のChalice of Repose Project School of Music-Thanatologyの先駆的な研究と、カトリック聖ベネディクト会の精神から示唆を与えられたこのリラ・プレカリア(祈りのたて琴)は、ルーテル学院大学と、人間成長とカウンセリング研究所の協力を得て2006年度より創設されました。JELAが推進するユニークなプログラムです。
●「私もリラプレカリアに期待しています」
●リラ・プレカリア(祈りのたて琴)と音楽死生学(ミュージック・サナトロジー)の違い −キャロル・サックの見解
リラプレカリア研修講座
リラ・プレカリア研修講座は、ハープと歌によるスピリチュアルケア実践者を養成する2年間の研修講座です。
研修期間中、受講生は常任講師からハープと歌の技術指導を受け、さらに外部から招いた講師による詩編やグレゴリオ聖歌等の特別講義を受けながら、スピリチュアルケアを学びます。さらに、ルーテル学院大学付属・人間成長とカウンセリング研究所が提供するカウンセリング講座を受講し、アクティヴ・リスニング(傾聴)の能力も高めます。
受講生には、毎日最低3時間の祈りと音楽の自習が課されます。第3期では習得した技術をホスピスや施設等の病床で実習します。
社会への奉仕
社会への奉仕こそリラ・プレカリア研修講座の真髄です。講座修了者は、ホスピスや終末ケア施設の病床にある方々、また健康上、あるいは心の問題で苦しむ方々に寄り添いながら、ハープと歌による祈りを捧げ、私たちの力を超えた方の慰めが与えられるよう願って奉仕します。
ダビデは琴を取り、手でそれをひくと、サウルは気が静まり、良くなった。(旧約聖書サムエル記上16章23節)
音楽には言葉を超えた力があります。神様の愛で人々の心に触れる力です。
JELAは、ハープと歌の祈りの派遣を希望する人たちと、リラ・プレカリア実践者との間のコーディネーターとしての役割を担います。リラ・プレカリアの働きを受ける人々に経済的負担はありません。完全な社会奉仕活動です。
社会への教育活動
ハープと歌による生きた祈りの働きの意義は、まだ日本では十分に認知されていません。キリスト教関係者にとどまらず、一般社会から幅広い理解と支援が得られるよう、JELAは、講演会、コンサート、文書活動等により、積極的に教育活動を展開しています。
リラ・プレカリア(祈りのたて琴)訪問ガイドライン
言葉がなくても祈れるように神様は音楽をくださった〜作者不詳
<リラ・プレカリア(祈りのたて琴)プログラムとは?>
病床にある方や、さまざまな問題で悩み苦しむ方にハープと歌による祈り(パストラル・ハープ)をお届けするプログラムです。このプログラムの意図するところは、訪問を利用してくださる方(以下、利用者)お一人お一人の存在そのものを大切にし、その方が一人ではないことが伝わるよう、その方の魂に平安が備えられるよう願いつつ仕えることにあります。利用者の費用負担はありません。
<対象者>
リラ・プレカリアの本来の働きは、終末期にある方、昏睡状態や意識の無い方、もしくは身体的、精神的に痛みを抱えている方を対象とします。利用者お一人のためにベッドサイドで奏でますが、その方の大切な時間をご家族と共有することにより、ご家族の方の穏やかなひと時になることもあります。
<実演内容>
通常20分〜40分間、3〜5曲ほどベッドサイドで利用者の容態と呼吸に合わせて奏でます。例えば、その方が落ち着かれ、呼吸がゆったりとしてきたら、奏でる音楽の速度も自ずと遅くなります。音楽を導くのは利用者自身です。私たちは、音楽を美しく聴かせる演奏者としてではなく、利用者の傍らでその方の尊厳を認めながら、ハープと歌を通して祈る者として存在します。
<病室(居室)に入ってから出るまでの流れ>
利用者の意識のあるなしに関わらず、ノックをして「失礼いたします」と声をかけて部屋に入ります。自分の名前と、ハープと歌の音楽を届けにきたことを告げ、「どうぞそのまま(ベッドに寝たまま)で聞いてください、眠くなったら寝てください、疲れたら遠慮なく言ってください」と説明します。時には利用者の許可を得て、カーテンを閉めたり、照明を暗くしたりとリラックスできる雰囲気にします。呼吸に合わせながら、20分〜40分ほど演奏します。終了したら、利用者に小声で「今日はここまでにします、聞いてくださってありがとうございました」とお礼と挨拶を述べて静かに退出します。
<使用する音楽>
利用者の中には、特定の曲に対して特別の思い出を持っていることがあります。それが良い思い出とは限りません。そのため普段私たちは、馴染みの少ない3つのジャンルの音楽を用いることで、利用者が自由に心の中で音楽を聴くことができるようにと考えています。
1.子守唄(ケルト系)
子守唄は万人に母親/父親のふところの温もりを思い起こさせます。
西洋の子守唄は3拍子が多く、揺りかごに揺られている感覚を思い起こさせます。
例:Suo Gan(ウェールズの子守唄)Christ Child Lullaby(スコットランドの子守唄)
2.グレゴリオ聖歌
韻律がない(無拍子)ため、不規則な呼吸になりがちな利用者に適しています。
1500年続いている祈りに満ちた美しい旋律の音楽です。
例:Kyrie Missa Pro Defunctis(主よあわれんでください)Agnus Dei Mass XVI(神の子羊)
3.テゼ
テゼは、短い祈りを込めたフレーズを何度も繰り返して歌う音楽です。
長調と短調が優しく混ざり合い、繰り返し歌うことによって、利用者に安心感を与えます。
例:Ubi caritas (詩編34編) Laudate omnes gentes(詩編117編)
<言語>
主にラテン語などの外国語を使い、日本語は使用しません。それは利用者に、考えたり、意味を汲み取ったりというような作業を回避してもらうためです。解釈という作業を離れることによって、利用者の精神(魂)が、その瞬間に必要な場所へ自由に旅をすることができるようにと願っています。
<施設へお願いしたいこと>
- 施設側で対象となる方を決めてください。
- 施設側で利用者やご家族の許可を得てください。
- パストラル・ハープはコンサートではないので、「ベッドに寝たままの状態で聴いてください」と利用者に伝えてください。
- 個室でない場合は、施設側で同室の方の許可を得てください。
- パストラル・ハープの静寂の中で、利用者が安心感につつまれて安静な状態になるように努めますので、自己紹介以外の会話は出来るだけ差し控えたいと考えています。
- 治療や投薬は出来るだけ訪問の前に済ませておいていただくと助かります。
- 利用者お一人のために演奏しますが、お知り合いやご家族の同席も歓迎いたします。
- お気付きの点などございましたら、リラ・プレカリア事務局(03-3447-1521)までご連絡ください。
<リラ・プレカリア主催者>
日本福音ルーテル社団(JELA)は、1909年にアメリカのルーテル教会を母体として活動を開始した公益社団法人です。創立以来、教育・社会福祉・宣教の三つの分野で事業を展開してきました。現在はリラ・プレカリア(祈りのたて琴)プログラムの他に、国内の個別難民支援、ブラジルの子ども支援、アジア(インド・カンボジア)の開発援助、ボランティア派遣など幅広い活動を行っています。 HP→ http://www.jela.or.jp/
■リラ・プレカリア研修講座を受講ご希望の方、また受講料等の詳細のお問い合わせについては、日本福音ルーテル社団中島までご連絡ください。
電話(03)3447-1521 FAX(03)3447-1523
Eメール jela@jela.or.jp |