JELAはこれまで、奨学金プログラムを通じて、難民や難民認定申請中の方々の学びを支援してきました。2021年度からは難民の教育支援に一層力を入れるべく、従来の奨学金から切り離して「難民支援事業奨学金」として独立させました。これにより、【給付型(返済不要)】【年額最大120万円】【原則卒業まで支援】といった条件はそのままに、定員数を2〜3名に増員し、より多くの難民・難民認定申請者の方々にご利用いただくことが可能になりました。
そして2022年度募集から「JELAフィロクセニア奨学金」と改称しました。「フィロクセニア(φιλοξενία)」は「旅人への愛、もてなし」を表すギリシア語で、新約聖書の次の箇所で用いられています。
旅人をもてなすことを忘れてはいけません。そうすることで、ある人たちは、気づかずに天使たちをもてなしました。
ヘブライ人への手紙13:2
自国の危険を逃れ、日本まで旅してきた人びとに、教育の機会を提供し、日本社会に定着しやすくなるようにお手伝いすることは、私たちにできる大切なおもてなしのひとつだと考えています。難民の方々、難民支援に関わる団体の方々などに広く当奨学金を知っていただき活用していただければ幸いです。
※専門学校への進学を希望されている方は「難民専門学校教育プログラム(RVEP)」もご参照ください。
奨学金の概要
特徴
【給付金額】年間最高120万円 ※返済不要
【給付期間】修業年限(最長の場合)
【給付方法】原則として、奨学生の在籍する教育機関に直接支払う。
- 給付金額・期間は、 本人の必要を考慮し、JELA難民支援事業委員会が決定します。
- 原則として、教育・研修を受けるために必須となる費用(入学金、授業料、施設設備費等)のみが、 当奨学金による支援の対象となります。 ただし、 給付予算に余剰がある場合に限り、受給者本人からの相談に応じて、 教育・研修に直接関係する費用(教科書代、教材費等)を、支援する場合があります。
- 「JELA難民支援事業奨学金 『フィロクセニア』運営規程」 第12条に基づき、奨学生に対して奨学金の返還を求める場合があります。
募集対象者
次の各項のいずれかに該当し、かつ就学・研修に要する費用の支払い能力が不十分である者です。
- 日本政府、外国政府、または日本国外のUNHCRにより難民として認定された者で、かつ日本政府から中・長期の在留資格を付与されていて、またはそのような在留資格を付与される現実的な見通しがある者。
- 難民の家族(難民認定された方の子など)
- 難民認定申請中の者(中・長期の在留資格のある者)
申請書類
奨学金の申請に必要な書類は次のとおりです。
- 奨学金受給申請書(毎年春にPDFを公開します)
- 難民、難民の家族、または難民認定申請者としての身分を公的に証明する書類(難民認定証明書、難民認定申請受理票など)
- 最終学歴成績証明書(高卒、高卒見込み、またはそれに準ずる状況を証明できるもの)
- 家計が困難な経済的状況であることを説明する書類(確定申告など)
- 教師・上司・支援者等による推薦状(最低1通。頼める人がいない場合はJELAにご相談ください。)
- その他(何かPRしたいことや書類などあれば任意)
各書類の詳細や提出手段については、毎年春に公開される募集要項をご参照ください。
※応募締切までに、全ての書類を揃えることができない場合は、1、2、4のみを期日までにお送りください。その他の書類についても速やかに提出ください。応募書類は原則返却いたしません。JELAが個人情報保護方針に基づき適切に管理・処分いたします。
選考方法・基準
フィロクセニア奨学金選考委員会(選考委員会)が、応募者の書類・面接審査を実施し、その結果をJELA難民支援事業委員会に答申します。最終的にJELA理事会が支給対象者・金額・期間を決定します。
選考委員会は、4〜8名の委員から成り、その半数以上は学校教育に造詣の深い外部有識者となっています。
選考においては、以下ような項目を基準として審査を行います。
- 難民(家族を含む)または難民認定申請者としての身分を有し、かつ中・長期の在留資格を取得している、または取得する見込みがあるか。
- 本人や家族の経済状況に照らして、修学・研修に要する費用の支払い能力が不十分であるか。
- 過去の学業成績が優秀であり、希望先における成業が十分に見通せるか。
- 希望先で学業を納めるために必要な日本語能力(又はその学校における教授言語の能力)を有するか。
- 書類・面接において誠意や熱意を表現しているか。
募集スケジュール
- 応募書類提出締切:2024年9月30日(月)必着(投函時期にご注意ください)
※推薦入試の場合は応相談 - 書類・面接審査:2024年10月
- 採否通知:2024年12月上旬
奨学生の義務
当奨学金の受給者は、以下の義務を負います。
- 学業に最善を尽くすこと。
- 学業や生活の状況について定期的に報告すること。
- 奨学金支給者には学期ごとに成績の提出を義務づけ、成績不振・留年等の可能性が見られる者には、事実が判明した以降の奨学金を提供しないこともあります。
- 学籍や氏名、住所等に異動が生じた場合は直ちにJELAに届け出ること。
- 奨学生本人の過失(自己都合の退学・転学・落第など)により奨学金支給が廃止され、支給済みの奨学金についてJELAから返還請求があった場合は、それに応じること。
- JELAの広報活動に協力すること(広報媒体への寄稿や、関係イベント等でのスピーチなど)。
- 奨学金に関するJELA主催の行事に可能な限り出席すること。
- JELAの名誉を毀損するような言動をとらないこと。
- 奨学金規程の内容を遵守すること。
支援実績
年度 | 奨学生数※ | 奨学生の在籍校 |
---|---|---|
2020年 | 2名 | 江戸川国際学院(日本語学校) 早稲田大学 大学院 アジア太平洋研究科 |
2021年 | 4名 | 足利大学 大学院 工学研究科 江戸川国際学院(日本語学校) 広島YMCA専門学校(日本語学校) 早稲田大学 大学院 アジア太平洋研究科 |
2022年 | 6名 | 足利大学 工学部 足利大学 大学院 工学研究科 江戸川国際学院(日本語学校) 日本体育大学 体育学部 健康学科 広島YMCA専門学校(日本語学校) 早稲田大学 大学院 アジア太平洋研究科 |
2023年 | 5名 | 足利大学 工学部 足利大学大学院 工学研究科 日本体育大学 体育学部 健康学科 順天堂大学大学院 医学研究科 医療創生大学 国際看護学部 看護学科 |
これまでの奨学生の国籍
- エリトリア
- シリア
- ミャンマー
- 無国籍